SPIN話法とは?営業ヒアリングで使えるフレームワークの具体例を紹介

- 「提案が空振りに終わることが多い…」
- 「提案に値するお客さまかどうか、ヒアリング段階で見極めたい…」
もしもあなたがこんなお悩みを抱えているなら、ぜひこの記事を読んで、SPIN話法を身につけましょう。SPIN話法とは、お客さまの潜在ニーズを明らかにするヒアリングのフレームワークです。
この記事では、SPIN話法の概要からSPIN話法の具体例、さらにはSPIN話法でお客さまの潜在ニーズを引き出すポイントをご紹介いたします。
この記事のもくじ
SPIN話法の概要
「SPIN話法の概要」の章では、SPIN話法の大枠と、SPIN話法が必要な理由をご説明します。
SPIN話法とは
SPIN話法とは、お客さまの潜在ニーズを明らかにする、ヒアリングのフレームワークです。SPIN話法の「SPIN」は、「S」「P」「I」「N」から始まる、4つの英単語の頭文字を繋げた言葉です。

SPIN話法を一連の流れで説明すると、
- まずは相手の現状を整理し
- 相手が抱えている問題(潜在ニーズ)を洗い出し
- 相手が抱える問題の重要性を自覚していただき
- 相手に問題を解決した先のメリットを認識していただく
となります。SPIN話法では、上記「4」までのトークを終えたのちに、商品説明を開始します。
なぜSPIN話法が必要なのか
SPIN話法が必要な理由は、大きく分けて2つあります。
- お客さま自身も、自身のニーズを自覚していないことが多いため
- いきなり商品説明をしても、相手は興味を持たないため
SPIN話法が必要な2つの理由を、順番にご説明いたします。

多くのお客さまは、自分でも気づいていない「潜在ニーズ」を抱えています。一方、商談で語られるのは表面化したニーズ「顕在ニーズ」であることがほとんどです。

ここに、ヒアリングの落とし穴があります。
顕在ニーズだけを聞いて、「うちでは対応できない」と判断してしまうと、本当は自社サービスで解決できた可能性のある課題を見逃してしまうかもしれません。
たとえば「痩せたい」というお客さまの真の目的(潜在ニーズ)が「自信を持ちたい」なら、ダイエット以外にも化粧品やファッションなどの解決手段があります。
逆に、顕在ニーズに合わせて提案しても、お客さまが解決するべき根本的な課題に刺さらなければ、商談が空振りに終わることもあります。

だからこそ、お客さまの本質的なニーズ(潜在ニーズ)を引き出すためにSPIN話法が重要なのです。
営業担当者がヒアリングすべき項目は、ニーズだけではありません。ニーズを含む、ヒアリング項目の総称を「BANT」と言います。BANTについて「営業のBANTとは?一番わかりやすい入門編」でご紹介しています。あわせてごらんください。

SPIN話法が必要な2つ目の理由は、いきなり商品説明をしても、お客さまは興味を示してくれないことです。
多くのお客さまは、「自分に潜在ニーズがあること」や「その解決が必要な理由」に気づいていません。そのような状態で商品を紹介されても「売り込み感が強い」と感じて警戒心を抱いてしまいます。
SPIN話法では、質問を重ねながら、お客さま自身に課題の重要性や解決のメリットを認識してもらうことを目指します。
その上で商品説明を行うことで、お客さまは「この課題を解決する手段なんだ」と感じ、自然と興味をもって耳を傾けてくれます。
お客さまと営業担当者との会話は「質問」によって進行します。マケフリ記事「すぐに使える営業質問例40選と、よい質問の9つの条件」では、そのような営業の質問を徹底的に掘り下げました。
SPIN話法の具体例
SPIN話法の具体例を、SPINの要素ごとにご紹介します。
ご紹介するSPIN話法の具体例は、あなたが営業支援ツール(SFA)の営業担当だった場合の具体例です。Excelでの管理に限界を感じているお客さまに対し、SFA導入を提案する初回商談を想定しています。
SPIN話法の S:状況質問
SPIN話法の「S」は、状況質問です。状況質問とは、お客さまの状況や背景を把握するために、客観的な事実を確認する質問のことです。
- 「現在、営業活動の進捗や商談状況は、どのように管理されていますか?」
- 「なるほど、Excelで管理されているんですね。営業担当者ごとにExcelを管理しているのでしょうか?」
- 「ということは、ほかの担当者の案件状況を把握したいときは、どうされていますか?」
SPIN話法の P:問題質問
SPIN話法の「P」は、問題質問です。問題質問とは、お客さまの「潜在的な課題」に目を向けてもらうための質問です。状況質問で得た事実をもとに、「そのやり方に不便はないか」「困り事はないか」などと掘り下げていき、お客さまの潜在ニーズを引き出していきます。
- 「Excelを開いて確認する手間や、報告内容が担当者によってバラバラだと、全体の状況を把握するのが大変ではないですか?」
- 「実際に、進捗の報告が遅れたり、数字の集計が間に合わなかったことはありましたか?」
- 「口頭ベースの引き継ぎだけでは情報が伝わりきらず、お客さまから『前にも話したんだけど』と言われた経験はありませんか?」
SPIN話法の I:示唆質問
SPIN話法の「I」は、示唆質問です。示唆質問とは、問題を放置した場合のリスクや影響をイメージしてもらうための質問です。問題の深刻さや、将来的に発生する可能性のある損失などを伝え、問題の優先度を高めてもらいます。
- 「もし、こうした報告の遅れや情報の分断が積み重なると、商談のタイミングを逃したり、マネジメント判断が後手に回るリスクも出てきますよね」
- 「会議のたびに状況をヒアリングして整理するような状態が続くと、営業マネージャーの負担もかなり大きくなっていませんか?」
- 「現場の営業担当者も、報告のための情報収集に時間を取られてしまって、本来の営業活動に集中できない、という声もよく聞きます」
SPIN話法の「N」解決質問
SPIN話法の「N」は、解決質問です。解決質問とは、問題を解決した先のメリットや理想的な状態をイメージしてもらうための質問です。
「S、P、Iのそれぞれで明らかにした問題点」をふまえ、お客さまに問題を解決した姿をイメージしていただくことで、あなたはその後の商品説明をしやすくなります。
- 「たとえば、営業進捗の入力や週次報告の作成にかかる時間が削減できたら、空いた時間で取り組んでみたい施策はありますか?」
- 「なるほど、過去の失注案件への再アプローチですか。その際にも、商談履歴や対応履歴がチームで共有できていれば、引き継ぎやタイミングの見極めもしやすいですよね」
- 「営業活動の履歴が一元化されていれば、『前回何を提案したか』『誰がいつ連絡したか』もすぐに把握できて、より的確なフォローができそうですね」
SPIN話法で潜在ニーズを明らかにするポイント
この章では、SPIN話法でお客さまの潜在ニーズを明らかにするポイントをご紹介します。
SPIN話法のポイントは大きく2つあります。それは「お客さまに話してもらうこと」と「質問をあらかじめ想定しておくこと」です。
お客さまに話してもらうこと
SPIN話法を使う際は、あなたは質問側に徹し、なるべくお客さまに話してもらうことを意識しましょう。
こちらがうまく問いかけることで、お客さまは「自分で課題に気づき、自分で課題を解決した先の姿を思い描いた」と感じます。するとお客さまは、課題解決に前向きな姿勢になります。
あなたが商品の説明、提案をするのは、お客さまが課題を認識し、解決したいという意欲が高まったタイミングがベストです。
この流れを作ることで、お客さまも興味を持って聞いてくださるでしょう。
あらかじめSPIN話法の質問項目を想定しておくこと
SPIN話法の質問項目は、あらかじめ想定しておきましょう。
たとえSPIN話法の型があなたの頭に入っていたとしても、その場その場で最適な質問をするのは骨が折れます。あなたによほどの対応力・瞬発力がない限り、「質問攻めにして終わり」な会話になってしまうでしょう。そこで必要になる事前準備が、SPIN話法の質問項目をあらかじめ想定しておくことです。
SPIN話法の質問項目は、自社サービスで解決できる課題や、サービスを利用する前のお客さまが抱えているお悩みを洗い出せば、自ずと明らかになります。
先ほどの営業支援ツール(SFA)の例でご説明しましょう。
SPIN話法の質問項目を想定するために、SFAの導入で解決できる課題や、SFA導入前のお客さまのお悩みを洗い出します。
- 商談の進捗をExcelで管理しており、情報が属人化している
- チーム内での営業情報共有が不十分で、引き継ぎ時にトラブルが起こる
- 報告や集計作業に時間がかかり、本来の営業活動に使える時間が減っている
上記のように、サービスで解決できる課題や利用者のお悩みを言語化できていれば、「SPIN話法の具体例」でご紹介した質問項目はスムーズに作成できます。
ヒアリングでお客さまの潜在ニーズを引き出すSPIN話法。ぜひあなたもお試しください。
「誰が、いつ、どのような会話をしたか」をチームで共有し、次の一手につなげたい方は、営業とマーケティングを一元管理できる「Kairos3」もチェックしてみてください。
あらかじめ決まった質問項目があるなら、ヒアリングシートのテンプレートとしてまとめておくとヒアリングの抜け漏れが減ります。マケフリ記事「営業ヒアリングシートのテンプレート|各ヒアリング項目も徹底解説」で解説していますので、あわせてごらんください。
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